06/10/2003
眠れぬ夜、みなさんはどうすごしていらっしゃいますか。
昨夜のこと、寝そびれてしまった私は、ぶらりとベランダに出てみました。
真夜中の住宅地は昼間とは違う顔。ひそやかに息づいています。
ぼんやり浮かんで見えるのは、
小さな庭の真ん中に植わっているヤマボウシの白い花。
その足元には、黒く光るバケツがごろり。
お昼間遊んでいた娘の姿が目に浮かびます。
裏のおうちはお風呂でしょうか。
お湯をざあっとかける音や、洗面器のカラカラいう音が聞こえてきました。
その横のお家と右むこうのお家の２階には、まだあかあかと灯がともっています。
そういえば、今は試験期間中なのだと、
お昼間、駅前で高校生の女の子たちが話していました。
一夜漬けばかりしていた自分の学生時代をふと思い出して、一人苦笑いです。
空にはひしゃく型に並ぶ星。
おでこににきびをつくった高校生の私が、
夜中に家を抜け出して、学校祭の準備をしに行ったときと同じ空です。
セーラー服の白いタイ、黄色い自転車、ショートカット、川沿いの道。
聖子ちゃんの「制服」、グレープのファンタ。
いつもどきどきしていて、つまらないことでふくれて、笑って、泣いて、
馬鹿馬鹿しくて、せつなかった日々。
あの頃と比べて、今の私はずいぶん違う気がするのに、
北斗七星はちっとも変わりません。
私がおばあちゃんになっても、あの星たちはあそこにあり、
変わっていく私をずっと見守ってくれている。
いつも、変わらず、ひっそりと。
そう思うと何だか急にほっとして、私はそっと部屋に戻りました。
「一晩くらい、ずっと星を眺めてるのもええやん・・」
そうひとりごちて、布団の中から雨戸を開けたまま窓の外を眺めていましたが、
いつの間にか眠ってしまいました。
まだひんやりと肌寒い６月はじめの晩のこと。