06/23/2003
子供たちをつれて近くのファミリーレストランへ出かけたときのこと。
それぞれの注文もようやく決まり、おひやを一口飲んでいると、
私の横を何かが通りました。
チョコレートのパフェです。
まあるいアイスがこんもり盛られ、その上にチョコレートソースがとろりとかけられています。
その横にはブラウニーの四角いかたまりがゴロゴロ。
腰高のグラスの中に黄色く見えたのはマロンでしょうか。パインかもしれません。
生クリームもたっぷり。
見るからにおいしそうなパフェです。
キウイや桃など色とりどりのフルーツがたっぷりのったクレープのお皿といっしょに、
ウエイトレスのお姉さんがもったまるいお盆は、
隣のテーブルに到着しました。
「お待たせしました」
待っていたのは、オジサン二人。
おとなりのテーブルはなんと、真っ黒に日焼けした年配の男性でした。
そういえば、私の父も甘いものが大好きでした。
「虫歯予防デーに生まれたのに・・」と母がからかうほど、
甘いものには目がありませんでした。
私が幼い頃住んでいた家の近くには「ベツイン」と呼ばれる大きなお寺があり、
その前に、「にんぎょう焼」と染め抜いた赤いのれんの屋台がよく出ていました。
たまに、父といっしょにその前を通ると車をとめて
「おい、ひとつ食べてくか？」と買ってくれることがありました。
何のことはない、自分が食べたくてしょうがないのに、
いかにも子供が食べたがっているから・・という顔をして、屋台のおばさんに声をかけていた父。
ダシにされているとも知らず大喜びの私。
まんまとやられたもんだ・・
３０年たって苦笑いです。
焼きたてのアツアツ。
中に入っているこしあんで口の天井をヤケドしながらほおばるおいしさ。
はしっこの皮がパリパリになったところが大好きで、そこをちょうだいとねだる私に、
「変わったやつだ」といいながら、ほらとわけてくれる父。
今日のは大黒様だったなどど教えてくれながら、
車のハンドルをにぎる父は、短気で怖い父ではありませんでした。
笑うと目がなくなるやさしい父でした。
甘いものを前にすると幸せな気持ちになるのは、
男も女も関係ないのかもしれません。
今日は、亡くなった父の誕生日。