08/04/2003
久しぶりに、ユーミンのコンサートに行きました。
サーカス、フィギュアスケート、バレエ。
そのどれでもない、でも、そのすべてであるような不思議なショー。
幻想的な世界に酔いしれているうちに、
時間はあっという間にすぎてしまいました。
アンコールも終わり、いよいよフィナーレという時、
ステージの真ん中に立ったユーミンが、メンバーを紹介し始めました。
ずらりと後ろにならんだロシアのサーカス団のメンバーは、５０人を超えていたでしょうか。
「○○ヴィッチ」、「××二コフ」など、
日本人には憶えにくく、舌をかみそうな名前ばかり。
紹介する人のほうにむかって、軽く手を差しのべながら、
でもユーミンはつかえることなく、ゆっくりと彼らの名前を呼び始めました。
にっこり笑いながらお辞儀をする女のひと。
すっと前を向いて会場を見渡してから、頭を下げる男のひと。
軽く投げキッスするひと。
おどけて手をふるひと。
空中ブランコでバツグンのチームワークをみせたり、
一糸乱れぬアイスダンスのステップを踏んだりして、
ユーミンのステージを盛り上げた人たちの、
個性豊かな一人一人のお辞儀です。
道化役をしていた人が、意外にまじめな表情をしていたり、
大人の雰囲気を漂わせていた女の人が、茶目っ気たっぷりだったり・・。
そんな彼らを見ていたら、
ブロードウェイミュージカルの傑作、「コーラスライン」を思い出しました。
それは、その他大勢のコーラスを決めるための、
オーデションの様子を描いた舞台。
映画にもなっているので、ご存知の方も多いでしょう。
いったい何人が通るのかも判らないオーデションで、演出家は言います。
「今日は、君たち自身のことを語ってくれ」と。
とまどいながらも語り始める、名もないダンサーたち。
踊ることへの情熱、挫折、そしてコンプレックス・・。
それぞれ顔が違うように、その人生も様々です。
でもそれらを抱えながら、みな同じ目標に向かってオーデションに臨んでいるのです。
このサーカス団の人たち一人一人にも、色んなドラマがあるのでしょう。
ライトを浴びて晴れやかな、顔、顔。
She is NO.1!
この一瞬だけは、
彼らが主人公です。
一人の名前も間違えることなく、最後まで紹介しおえたユーミンと、
ずらりと並んだロシアの人たちに、
会場からはひときわ大きな拍手が起こりました。
She is NO.1!
ひとりひとりがナンバーワンです。
私も大きく手を叩きました。