02/08/2004
「ママのどこが好き？」
コタツに足をつっこみながら、
子供たちにこんないじわるな質問をしてみました。
「どこって言われてもねえ・・」
「うーん、そんなん わからへん」
案の定困り顔の長女と次女を横目に、
膝の上に座っていた三女が、
ピョンピョン跳ねながら叫びました。
「オテテ！」
「そっかあ、お手々かあ」
「なるほどね」
「そういえば、いつもあったかいやんなあ」
「そうそ。外から帰ってきたとき触ると、気持ちいいねん」
ママの手がストーブの前を占領してることが多いからと、
次女がその場を混ぜっ返して大笑いになりました。
白くて柔らかい・・には程遠い、
ごつくて黒い私の手です。
その大きさが恥ずかしくて、
人前に出るとつい隠したくなってしまう私の手です。
久しぶりにその手をじっと見てみました。
あれ？いつの間に？
指のしわが心なしか増えたようです。
節を中心にして輪を描くように広がっています。
左手の中指と右手の人差し指には、学生時代剣道をしていたときの傷。
そこだけ、少し薄い肌色の絵の具がにじんでしまったみたいに、
うっすら跡が残っています。
右手の中指には、大きなペンだこ。
鉛筆を強く握りこむくせは、小学校の頃からなのです。
ヒョロリと長い指は、
「サルみたい」とよく男の子にからかわれました。
ハンドクリームなんか塗ったこともありません。
ろくな手入れもしていないのに大して荒れもせず、
ずっと働いてきてくれた私の手。
握って、開いて、握って、開いて・・。
一体今まで何万回繰り返してきたのでしょう。
おぎゃあとこの世に生まれ、初めてこぶしを開いた瞬間から、
ずっと働いてきてくれた私の手。
何だか自分の手が急にいとおしくなりました。
そして、その手を好きだと言われたことが、
とても嬉しくなりました。
「ありがと」
私は、両手で三女のほっぺをギュッと包みこんで、
チュウをしました。