◆　Metropolitan Opera　◆

03/07/2004

生まれて初めてオペラを見に行ってきました。
The Queen of Spades ― スペードの女王です。

指揮者は Vladimir Jurowskiで、演出は Elijah Moshinsky 。

主な出演者は

という配役で、オペラに詳しい先輩によれば、こんなそうそうたる顔ぶれはなかなか見られないそうです。
チケットも「見たい？」「はい。」→で、すぐに手配していただき、何もわからない私が
何も苦労しないまま良い席でそんなすごいものを見せていただくなんてありがたいことです。

はい、オペラなんて無縁な私にだって「ぷらしど・どみんご」といえば超がつく人だってわかります。
そういえば、毎年お世話になっているベガスのベネシアンには「ぱばろってぃ」が
グランドカナルショップスの突き当たりに立っているのですが、
去年の秋にお見かけした時には台車に乗せられてマダムタッソーの方へ連れて行かれていたなぁ。
彼のお別れ公演は即ソールドアウトだったそうですが、先輩は狙っているらしい……。
いったいどんなマジックを使っているんだろう……？

さて、今回初めての経験だったのですが、「オペラが好き。」とおっしゃる方の気持ちが
チョッピリわかったような気がしました。
音楽はオーケストラ、お話の筋書きもわかりやすく、衣装がこれまたステキ、
バレエの要素も入っているし、楽しみが盛りだくさんではありませんか。
一粒で２度おいしいどころか……、っあ。すみません、例えが庶民過ぎましたか？あはは。

さらに、初心者の私が喜んだことには、座席の前に字幕が出て
物語を追っていけるようになっているんですうー！わお！これは便利。
ロシア語なんて全くわかりませんから。（この日の歌詞はロシア語。）
なんといっても全て歌っているわけですからスピードもほどほどです。
字幕に集中しすぎて舞台を見ていないなんてことにもならず、落ち着いてみることができます。

幕間には席を立ってシャンパンなどを楽しむことができます。
おしゃれをした紳士淑女のみなさんが優雅に飲み物とおしゃべりを楽しんでいる空間に
ご一緒するのもなんだかいいと思いませんか。ううーん。プチマダムの気分。

終了後のカーテンコールの時にフラッシュがあちこちで焚かれていたのにはビックリ。
撮影可なんだー、と意外でした。
（え？まさかホントはダメなの？みなさん堂々と撮っていて中にはムービーの人もいたようだけれど。）
私もカメラを持っていたので慌ててカバンから取り出して撮ってみました。

ＮＹ滞在も残すところ３ヶ月少々になってきて、お勉強にばかり夢中になっていた秋セメスターを反省。
「うわーん、なんにもやっていなーい！」と焦り気味。
日本へ帰るまでにできるだけいろんなことに目を向けてみようと思っています。
ＮＹにいるからこそ触れることのできるこういったオペラもその第一歩といったところでしょうか。

さらに、オペラ鑑賞から１週間後。今度はオペラ座のバックステージツアーに参加しました。

今季とっている授業の一つに毎週各界で活躍されている方がやってきて
お話を聞くことができるというとても興味深いプログラムがあります。
このツアーはその授業の一環で、生徒がいろんな文化に触れるようにと提供されています。
なんと参加費はタダ。ラッキー。
（普通にオペラハウスに行ってもツアーに参加できると思います。
　参加者はうちの生徒の他にもたくさんいらっしゃいましたから。）

さて、バックステージツアーという位ですから、舞台裏をいろいろ見学させてもらえます。
ガイド役の初老の紳士に案内されてゾロゾロと学生達がついていきます。

歌手の方の控え室にはさすがオペラ歌手用といった感じで、ピアノがおいてあります。
既に楽屋入りされている女性歌手の歌声も響いていました。
この楽屋には窓があります。ガイドの方曰く、こんなに空気の悪いマンハッタンなんだけれど、
歌手のみなさんからの「新鮮な空気が吸いたい。」というたってのご要望の下、作られているとか。

地下にはいろんな舞台で使用する舞台セットが所狭しと保管されている部屋があります。
どう見ても適当におかれているとしか思えない状態で、
「どれがどの舞台用だってわかるのが不思議な位だ。」とガイドの方もおっしゃっていました。
確かに裏には演目名と act ○ scene ○○というふうには書いてあるようでしたが、
ゴチャーッとおかれている中から必要なものを持っていけるとはさすがプロ？

ここは衣装、舞台セット、カツラなどなど全て自前でやっているということで、
建物のなかにはあらゆる制作現場が配置されていました。

舞台セットを作っているところではサロメで使用するという
首を切られた頭部なんていうものも転がっていて、
自由に触って良いですよ、とサービス満点。
石のように見えるのに触ってみると発泡スチロールのような軽い 素材で作られている
とわかる ものがあったりして、面白くてみんな興味津々で触っていました。

ツアーで歩いていると、もう使用しない衣装というのが結構通路のあちこちに
ぶら下げられていて、これまた自由に触って良いですよ、との寛大なお言葉。
なんてったってオペラの衣装ですから豪華。
「ん？何人かついてきていないな。」と思うとたいてい衣装のところでひっかかってるんです。あはは。

これ位はみ出ている。

面白かったのがカツラの工房。
出演者の頭の型を取って、その人その人にあわせたものを作っているんですって。
ベースは薄い肌色のレース生地。それに人毛をつけているんです。
このベースのレースは髪の生え際部分から数センチはみ出た形なのですが、
薄いのでほとんど舞台ではわからないそうです。
知らなかった。
後でパンフレットの写真をみて生え際あたりをよーく見てみると
そういえば、額にうっすらレースがのっているのかも？
とも思えるような、思えないような……。

リハーサル室は歌のリハーサルだったり、オーケストラのリハーサルだったり、
パート毎のリハーサル室、そして、みんな集まってやる最終的なリハーサル室と
何カ所もありました。もちろん、いろんなリハーサルが進行中です。
中には入れませんが、覗いてみることはできます。

日本でもさよなら公演が予定されているパバロッティ。
数年前にキャンセルになったことがあったようですが、
ガイドのおじさまが通りがかりの人に「リハには来たの？」と聞くと「来たよ。」とのこと。
スケジュールを後で確認したら翌日出演することになっていました。
＼（゜ｏ゜；）／ウヒャー
私達がウロウロしていた間どこかにいたらしい。

ウロウロしていたといえば、モニタールームを覗いていた時、男性が出たり入ったりしていて、
ガイドのおじさまが小さな声で私達に教えてくれました。
「彼は有名な演出家だよ。先週スペードの女王を見に来たって言っていた人がいたよね、あの舞台の演出家だよ。」
おお！そうでしたか。奇遇なり。

ステージももちろん見てきました。
舞台の袖や裏側にも所狭しとセットが準備されていて、後方には既に翌日のセットもスタンバイしています。
かなり、乱雑なイメージ。埃っぽいような気もするし。
出演者のみなさんはこんな環境で歌を歌うんだ、大変だなぁ、と変なことを考えていると、
「歌い手さんのために霧吹きで水がまかれるような装置も設置されています。」との説明が。へーーー。

１時間半程たっぷりと説明を聞いてツアーは終了です。
お金を払っていないのでよくわからないのですが、たぶん参加費は１０ドルとか２０ドルとかだと思います。
なかなかできない体験なのでお時間がある方は参加されていてはいかがでしょう？
結構楽しめると思いますよ。

METROPOLITAN OPERA HOUSE は LINCOLN CENTER にあって、
地下鉄 １・９ の 66th Street を降りてすぐです。